【知りたい】Kroiはこの5曲を聴いてハマれ!

【知りたい】Kroiはこの5曲を聴いてハマれ!
2018年に結成された5人組バンド・Kroi。様々なジャンルを混ぜ合わせる自分たちのサウンドの志向性と、すべての色を混ぜ合わせた「黒色」を掛けて名付けられた「Kroi」というバンド名は、彼らが生み出すファンキーかつカオティックな音楽世界を見事に言い表していると言えるだろう。メンバーそれぞれが楽器への強い理解と愛着を持ち、ミックスまで手掛けるほど音作りへのこだわりを持ち、そして、その狂気とユーモア、幻想と現実が交錯する世界観を、MVやステージ演出においても視覚化してみせる総合芸術としての強度も持っている――そんな、フェティッシュで他に類を見ないKroiの世界にあなたを誘うべく、ここに5曲を厳選し、紹介しよう。(天野史彬)


①Fire Brain

2019年にリリースされた2作目のシングル曲。バンド最初期の楽曲だが、早くもKroiサウンドの旨味が濃縮されている。パーカッシブなビート、内田怜央(Vo)の高速ラップ、そして曲終盤に表れる《Burn such a brain…》の獰猛なリフレインが生むカタルシスは、ライブでもハイライト的な盛り上がりを見せることが多い。内田はこの曲に関して、「インフルエンザにかかった時に作った」と語っている。つまり、この曲の根っこにあるのは身体的な不調や不自由さであり、それが、この脳みそが燃え上がるような爆発力のある楽曲を生んだのだ。Kroiの音楽が持つ肉体と精神への深いリンク。その一端を示すエピソードである。

②HORN

2020年にシングルとしてリリースされ、2021年リリースのEP『STRUCTURE DECK』にも収録された一曲。ダンサブルでポップな曲調、歌詞に出てくる《ユニコーン》から着想を得たであろう“HORN”というタイトルなど、Kroiのカラフルで幻想的な側面を強く感じさせる曲だが、《瞞しの自由を手にしたまま/歪な日常を受け入れてください》というラインに顕著なように、この曲の前提にあるのは現実の閉塞感なのかもしれない。人は何故、空想を求め、生み出すのか? そんな問いに対して、Kroiが導き出した答えのひとつがこの曲にはあるのだろう。

③Balmy Life

2021年リリースの1stアルバム『LENS』の冒頭を飾る一曲であり、一躍、Kroiの名を世に知らしめた曲。ファンキーさとメロディアスさが見事にブレンドされた楽曲自体はもちろん、KroiのMVや舞台演出の多くを手掛ける映像作家・新保拓人による「カルト」というMVコンセプトをきっかけに制作されたというだけあって、独特な色彩感覚でコミューナルな空間を描き出したMVも見どころのひとつ。《混乱から逃れる術どこ?》――そう歌うこの曲の歌詞からもまた、音楽に現実に対しての別解を求めるKroiの思想が見えてくる。

④Juden

2021年にリリースされたEP『nerd』の冒頭を飾った曲であり、「ダイハツROCKY-e:smart」のCMソングにも起用された一曲。2ndアルバム『telegraph』にも収録された。大胆なほどに厚みのあるシンセをはじめ、各楽器が声高に主張しながらスムーズかつ歪に重なり合うアンサンブルが、Kroiのバンドとしての肉体の強さを感じさせる。『nerd』はEP全体を通して「恐怖」をテーマとしているが、この“Juden”の歌詞もよく読めば不気味だ。《教室》《君の席》といったワードから感じられる青春時代の景色。しかし、その裏側にある「学校」の閉鎖空間ゆえの恐ろしさが刻まれているようにも感じられる。

⑤熱海

2022年リリースの2ndアルバム『telegraph』からの先行配信曲となったメロディアスな一曲。カオティックなサウンドメイクで聴き手に驚きを与え続けてきたバンドが、ここまで屈託なくメロウで牧歌的なサウンドと世界観に舵を切ってみせた、という点において、この曲にもやはり驚きがあった。メンバーが熱海を堪能する様子が可愛らしく収められているMVも必見。この曲の存在そのものが、次に何を見せてくるかわからないKroiというバンドの底知れなさを感じさせたと言えるだろう。《古びた新しい思い出》というフレーズに、自身の脳内世界に向き合い続ける内田らしさを感じる。


【JAPAN最新号】Kroi、狂気と陶酔とリアルを伝える、美しくも歪な私たちの共通言語――2ndフルアルバム『telegraph』完成!
曲ごとにジャンルも違うし、曲調やBPMもバラバラなんだけど、その中にもひとつ軸になるものがあるような作品になった(関) 現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』9月号にKroiが登場! 狂気と陶酔とリアルを伝える、美しくも歪な私たちの共通言語――2ndアルバム『teleg…
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