2023年の解散に向けて走り出したBiSH、12ヶ月連続リリースの皮切りとなるシングルだが、その名も『FiNAL SHiTS』というのはちょっと早すぎるんじゃないの？と思った。だが、楽曲を聴いて、それからビデオを観て納得した。これは「さよなら」の曲ではなく、BiSHというグループの改めての自己紹介だ。チッチが歌う《いつか終わりは来ちゃうから／後悔しないように》、アユニが歌う《まだやれるはずさ》、リンリンとモモコのユニゾンで歌われる《突き進むだけ》……堂々としたロックサウンドに乗せて放たれる言葉は、BiSHがどうやって進んできたかという証明。いつか来るとわかっていた終わりに向けて、ここから始めるよ、ということだ。カップリングの “NOT FOREVER”もそう。《できないことがないと思って／走り出したんでした》と、ヘヴィなギターでスタートラインをぶっとく引き直すような曲だ。センチメンタルな気分は消えないが、ここからもう一度真っ直ぐ一緒に走ろうじゃないか。2月にリリースされる第2弾シングルのタイトルは『ぴょ』。さっそくタダでは済まない予感がする。（小川智宏）

『ROCKIN'ON JAPAN』3月号より