デビュー30周年にあたる2022年最初のMr.Childrenの新曲は、Netflix映画『桜のような僕の恋人』への書き下ろし主題歌“永遠”。哀しい運命の輪郭をそっとなぞるような、桜井和寿の歌声とピアノの音色の包容力。やがて、バンドのリズムとストリングスが加わり、サビで壮麗に高まるアンサンブルとともに、《一瞬でさえも逃したくなくて／夢中で追いかけるよ／今はもう／ここにはいない君の笑顔を》という切実な想いを丹念に響かせていく――。2015年のアルバム『REFLECTION』以来となる小林武史とのタッグによって、Mr.Childrenの「今」――桜井のメロディの奥行き、バンドのビートの強度が、より一層鮮烈な音像とイメージを立ち昇らせてくる。《もう会えなくても／君は僕の中の永遠》……“永遠”の最後は、映画で描かれる「叶わぬ幸せ」に捧げられたフレーズで締めくくられている。その儚さは同時に、聴き進むごとに終わりに近づく刹那芸術＝音楽の、終着点なき探求の旅路にも通じるものだ。ポップミュージックに見果てぬ永遠を求め続けるMr.Childrenの在り方が凝縮された名曲。（高橋智樹）

『ROCKIN'ON JAPAN』5月号より