ラブソングの書き手として
あいみょんがとても信頼できるのは、恋の甘さや柔らかさだけではなく苦さや硬さも、居心地のよさや気持ちよさだけでなく危なっかしさや痛々しさも、常にちゃんと描くからだ。というか、どちらかといえばそっちのほうが多い。なんならそれこそが恋やん?と思っているフシもある。それがとても人間的でリアルで、だからこそ切ない。筆者が経てきたごくわずかな経験を踏まえて書くならば、恋なんてたいていは苦くて痛くて危ういものだ。初恋ともなればなおさら。思い出すだけで胸が締めつけられる。まあそんなおっさんの思い出はどうでもいいが、この“初恋が泣いている”はまさにそういう曲。たぶんとっくの昔に終わったのであろう「初恋」が、《電柱にぶら下がったまま》こっちを見ているというのである。怖。でもわかる気がする。トオミヨウによるシンプルで味わい深いアレンジが微風のように心をざわつかせる、あいみょん印の王道恋愛曲だ。一方カップリングの“皐月”は“ミニスカートとハイライト”以来の
ミツメとのコラボ。キュートでめちゃくちゃ楽しそう。(小川智宏)
『ROCKIN'ON JAPAN』7月号より