心が焦がれるほどの情熱と瑞々しいロマンチシズムが、火花のように迸る。「受け取りやすいものを作りたい」という思いのもと制作された6thミニアルバム『cubism』から約2ヶ月というインターバルでリリースされるデジタルシングル。前作が春から夏へとモードが移り変わる「初夏」のような作品ならば、今作は彼らならではの角度から「夏」の中心を颯爽と射抜く楽曲と言えるだろう。

淡々としたギターのリフレインを軸に音像がドラマチックに展開していく様子は、平凡な日常にたちまち新しいときめきや感動が瞬いていく高揚を体現。躍動感のあるアンサンブルにもバンドのグルーヴが生き、遊び心の効いたフレーズもアクセントになっている。小気味よい語感の歌詞、そこに描かれた事象とリンクするメロディなどに加え、今作はナカシマ（Vo・G）の歌の存在感がひときわだ。清涼感と鋭さを併せ持つ声は、息遣いも含めて言葉と音の一つひとつに景色、感情を刻み込む。あなたと僕の間に生まれるすべての美しさを見逃したくない――そんな純粋な情念は、真夏の太陽を凌駕するほど熱く、輝かしい。（沖さやこ）

『ROCKIN'ON JAPAN』9月号より