去年リリースされた1stミニアルバムに『嘘だらけの日常の中で』と名づけたヤングスキニーにとって、「嘘」とは日々の中に当たり前のように浸透しているものなのだろう。彼らはその事実に苛立ち、面倒くささを感じつつ、嘘をついたりつかれたりしながら生きる人間の不器用な在りようを、憎み切れずにもいるのではないか。そんなことを、ここに届けられた新曲“本当はね、”を聴くにつけて思う。
“本当はね、”。タイトルが示すように、この曲で歌われるのはある女性の「告白」である。バンド音楽のリアルな体温と端正なポップセンスが絶妙にブレンドされたサウンドに乗せて、《本当はねあなたが好き》《本当はね私気づいてほしかったの》と、日々、想う相手を前に本音を隠しながら生きる女性の内面が吐露されていく。柔らかな告白のいじらしさに惹かれつつも、その奥に透けて見える女性の毎日――化粧や衣装や言葉を、いわば「嘘」を纏い懸命に生きるこの女性の毎日にも、私はどうしようもなく愛おしさを感じる。ヤングスキニーはきっと「嘘だらけの日常」をも愛し、この音を奏でているのではないだろうか。(天野史彬)
愛おしい。透けて見える「嘘」さえも
ヤングスキニー『本当はね、』
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