Saucy Dogの石原慎也をゲストボーカル＆チューバ（！）に迎えた配信シングル。谷中敦はこの楽曲に「僕と慎也くんの5年越しの夢」とコメントしており、両者にとって念願のコラボであるようだ。曲を展開していくにつれ少しずつ音数を増し熱を高めながら、終盤の間奏で一旦スローダウンし溜めを作った後、ラストのサビで一気に熱量を放出するスカパラの演奏は、引き続き熟練の極みにある。特にラスト、思わず声が出るようなカタルシスである。そんな極上の演奏の中、なおも輝きを放つ石原も素晴らしい。《何だったん？って恋をしようよ／良くあんなこと出来たよねって／あとから2人でびっくりしようよ》など谷中の筆により思春期の蒼く儚い恋愛模様が描かれたリリックが、切迫感を宿しつつどこまでも透き通ったボーカルで歌い上げられる。とりわけ、《信じていいよ／シャツ引っ張って／怖くもないよ／ただの未来だ》という結びのラインでのビブラートを効かせたシャウトが胸を打つ。これでもかとベテランの凄味を見せつけるスカパラと、怯まず全身全霊で迎え撃った石原との化学反応。コラボかくあるべし。（長瀬昇）

『ROCKIN'ON JAPAN』1月号より