今まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで認知を拡大している3ピースバンド、マルシィ。彼らの2023年一発目のリリースは、“白雪”や日本以外のアジア圏でもバイラルヒットしている“未来図”でもタッグを組んできた百田留衣を再び編曲者に迎えた、滑らかなメロディが印象的なエレクトロポップ“アリカ”。去年の暮れにCOUNTDOWN JAPANでライブを観た時は想像以上にフィジカルが逞しいバンドなのだと驚いたが、こと音源においては、“未来図”や今回の“アリカ”のようなアイデアとしては大胆、手捌きとしては繊細、そんなポップネスを見事に手なずけてみせるところに、彼らの表現力の豊かさを感じる。
ロックバンドとして発生しながら、どのように時代のポップと向き合っていくのか?という点においてマルシィは感情的になりすぎない冷静さを持っているし、曲は緻密だが、スタンスは軽やかで自由だ。今回の“アリカ”、曲調としては切なくメロウだが、流麗なメロディと吉田右京(Vo・G)の威風堂々とした歌唱からは、「今ここが王道である」と宣誓するような力強さもまた感じる。(天野史彬)
(『ROCKIN'ON JAPAN』3月号より)
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「今ここが王道である」という宣誓
マルシィ『アリカ』
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