洗練されたムードを持ちながらも泥くさく、知的かつ人懐こい。音楽へのピュアな好奇心が溢れる演奏と、「自分自身との対話」を歌う情感豊かなボーカルが、我々の心に情熱の灯をともす。
バンド初のCD作品は、昨年リリースされたデジタルシングルに新曲を加えた6曲入りEP。ラグタイムを基調にした軽快な楽曲や、夜明けのように打ち込みから徐々に肉体的なグルーヴへとスライドするドラマチックなナンバー、ソリッドでエレガントなファンクなど、新緑を揺らす風のように心地よい躍動感の音像と、様々な音楽性を用いてポップスへと落とし込む。その中で力強く響くのが、涼音(Vo・Ag)のボーカルだ。「本音の自分で生きる」という決意と苦悩を、独特の解釈で自問自答しながら明かす彼の歌と言葉は、地に足のついた熱量で鮮やかに響く。すべて彼が自分の頭でじっくりと考え、もがきながらも導き出した自分なりの哲学だからこそのきらめきだ。誰かからの借り物ではなく、自分の力で生み出していく――楽曲の隅々から漲る、4人のフレッシュでポジティブな意欲は非常に華々しい。(沖さやこ)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年6月号より抜粋)
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