新たな始まりのアルバムとなった『Honey & Darling』を経て10周年のアニバーサリーイヤーに突入したKANA-BOON。そのキックオフとなる東阪野音でのライブを経て6月からは2マンツアーがスタートするが、その直前にリリースされるのがこのコンセプトアルバムだ。タイトルの通りラブソングばかりを集めた今作、描かれた「恋」のかたちはさまざまだが、恋の始まりに高鳴る鼓動も、哀しい別れも、ちょっと苦い思い出も、谷口鮪は力強い言葉と歌声で音楽にしている。これまでも谷口はその時々の恋愛に真正面から向き合って曲を書いてきた(その軌跡は今作「10th Anniversary Edition」に収められた『失恋のすゝめ』というディスクで聴くことができる)。だが今作がそれらの曲と決定的に違うのは、恋の喜びも悲しみも、すべてが「現在形」なところだ。最後の“ただそれだけ”の最後のライン、《それでもこんな最低で最高な恋が好きだなあ》という実感そのまま、すべてにちゃんと名前をつけ、心の中に居場所を与え、自分の人生の一部として刻み込んでいこうという強い意思が、作品全体から伝わってくる。(小川智宏)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年7月号より抜粋)
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ずっと恋をして生きていく
KANA-BOON『恋愛至上主義』
2023年06月14日発売
2023年06月14日発売
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