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マルシィならではの切なさ&甘酸っぱさ全開の片思いソング。ミドルテンポのギターサウンドが夏らしい、焦がれるような恋心を描写する。《脈なんてないのにね》《実らないのにね》と思いが通じることを諦めようとしながらも、それでも好きな人のことを思わずにいられない複雑で繊細な女心の描写は吉田右京(Vo・G)ならでは。2コーラス目も、曖昧な態度の「君」に心をかき乱される恋心が描写され、どこまでも胸を締めつけられるような「片思い」が綴られる。が、ここでふと気づく。もしや、2番は1番で歌われた片思いの相手からの目線なのではないかと。そう思えばこの楽曲が表現する「片思い」の、なんとときめきに満ちたことか。お互いがあと一歩踏み出せば、ほんの一言勇気を出せば、ふたつの「片思い」がひとつの愛の始まりへと変わっていくのだ。だからこそここで描かれている「片思い」には、寂しさの裏になんともいえない不思議な幸福感が滲む。まるで映画のシーンのような立体的なソングライティングは秀逸。(杉浦美恵)(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年9月号より抜粋)
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