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これまでの活動の中で一貫して追求してきた「ダンス」に対して改めて全力で取り組んでいるアルバム。そして驚かされるのは、各曲に渦巻いている圧倒的なドラマチックさだ。サビをクライマックスとして設定しつつAメロ、Bメロなどで助走をつけるのがロックバンドの音楽のオーソドックスなスタイルだが、このバンドの曲の多くは序盤から惜しげもなくクライマックスの連続放射をする。不思議な転調、暴れ馬のようにスリリングなメロディを連発するギター、華のある歌声同士が遠慮なく輝き合うツインボーカル、ダンス衝動を果てしなく誘う多彩なリズム……これらをてんこ盛りしているKEYTALKの音楽は、端的に言うならばどうかしている。呆気なく空中分解してもおかしくない無茶なことを結構しているのだが、きちんと成立させているだけでなくキャッチーに仕上げているのがとんでもない。「前衛的なのに抜群に踊れる!」という離れ業が、彼らの音楽の稀有な独自性なのだと、本作を聴くと本当によくわかる。(田中大)(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年10月号より抜粋)
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