音楽は0と1の間を描くためにある

SEKAI NO OWARI『ROBO』
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浮遊感のあるシンセサウンドと丸みを帯びたビート、ハンドクラップ、Saoriの「はぁ」というため息のようなブレス、そしてどこまでも優しいFukaseのボーカル――聴こえてくる音のすべてが“ROBO”という曲名とは裏腹な人肌の温かさを感じさせる。いや、裏腹というか、ロボットをモチーフにしながら結局この曲が歌っているのは「人の心」なのだ。「ロボットというモチーフで心を描く」という点で連想するのは“不死鳥”だが、物語の形式を仮借しないという意味で、この“ROBO”のほうがよりダイレクトで本質的だと思う。

6月にリリースされた前作シングル『ターコイズ/サラバ/バタフライエフェクト』もそうだったし、2022年開催の4大都市ドームツアー「Du Gara Di Du」もまさにそうだったし、“Habit”からそうだが、昨今のSEKAI NO OWARIはさまざまな装置やメタファーを駆使しながらも、決してそれにとらわれることなく、本当に目を向けるべきものをまっすぐ表現するようになっている。(小川智宏)

(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年10月号より抜粋)


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