『ROCKIN'ON JAPAN』がお届けする最新邦楽プレイリストはこちら
米国の名門/先鋭レーベルとして名を馳せるブレインフィーダーと契約しドロップした記念すべき世界デビュー曲。過去作に引き続き、あらゆるレイヤーでの「問い」の喚起が作家性になり得ることを証明している点で、稀有な存在だ。これまでも、打ち込みと生楽器を過度な情報量のもと凝縮し整理した音世界によって、情報社会における我々の認知リソースのキャパシティをどこまで拡張させることが可能なのか問うてきたように思う。本曲では、より一層声のテクスチャがひらりと軽やかになったことで、トラックに肉薄しながらも接着面ぎりぎりの境界線で踊り続けるようなまた一味違ったスリルが。まるで熱々のご飯にのった鰹節のごとき幽霊的な、緊張感ある絡み合いを見せる声だが、その発声が終盤に強い音波で振動を生む展開は実にサスペンスフル。さて、ここからどのような身体を立ち上げ、如何に「猥雑さ」の再定義を進めていくのか。今後についての期待を問題提起的に仄めかす、長谷川白紙らしい痛快なリスタート!(つやちゃん)(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年10月号より抜粋)
『ROCKIN'ON JAPAN』10月号のご購入はこちら
他ラインナップはこちら