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前作から今作に至るまでの中でリリースしてきたタイアップ曲がたくさん収録されているが、彼らが様々な機会で一貫して表現してきたものが明快に伝わってくる印象だ。「あなたはあなた自身としてこの世に存在していいんだ」というメッセージを様々な曲から受け取ることができる。“Future is Yours”の中で繰り返される《君はいたほうがいいよ》は、本作の象徴的フレーズとして挙げられるだろう。人間が抱く悩みの多くに根差しているのは、自分自身の存在意義に対する疑問なのだと思う。他者から向けられた悪意だけでなく、己が自分自身に対して無意識下で浴びせることも多い罵声は、心を着々と蝕んでいく。そんな悲しい現象を粉砕するのが、サンボマスターが全力で音を奏で続ける大きな理由なのかもしれない。そんなことを思えるこのアルバムは、とても熱くて温かい。ソウルフルな歌声、グルーヴィーな演奏、眩しいくらいの生命の輝きを目いっぱいに噛み締めるひと時は、たくさんの勇気と負けん気を授けてくれる。(田中大)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年1月号より抜粋)
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