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ふたりして「イントロがかっこいい!」と言っているコメントには笑ったが、要するにそういう気分で、つまりバンドをやるような気分で、奥田民生とはっとりはこの曲を作れたということなのだろう。「旅」とロックンロールの相性は抜群で、とくに奥田民生という人はそれを歌わせたら右に出るものはいないぐらいの達人なわけだが、この曲はその真骨頂。で、これがうっかり「新たな“イージュー★ライダー”」とか言いたくなるような曲になったのにははっとりの存在が大きかったんじゃないかと思う。彼は奥田民生の旅路をひたすらに追いかけてきた人なわけで、そうやって後ろをついてくるやつのことをチラッと振り返ったりしながら背中を見せるような大らかさがこの曲にはある。歌詞がどういうふうに書かれたのかは知らないが、《旅はいいもんだ ほら眠くなるぞ 迷ったら道を作るようなつもりで/月を追い抜くくらいの気持ちで/だけど線路にゆだねないとだめ》というのは民生からはっとりへのメッセージに聴こえてならない。(小川智宏)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年2月号より抜粋)
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