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つんのめったロックンロールを推進するドラムの迫力と、バラードでのギターの情感溢れる音色作りの巧みさが際立っており、演奏技術の確かな向上が感じられる3rdアルバム。そして、バンドとしての総力が高まったことに伴い、曲に込められるメッセージも一層鮮明になった。今作に収められた9曲中、大半の楽曲がラブソング。さらに、いずれも「愛の喪失」がモチーフとして通底している。では、なぜFOMAREは切なきラブソングばかり描くのか。その理由が、“ルー・ティーン”においてこう歌われる。《いつかは笑える歌に変えられる/気がする今をずっと愛してたいんだよ》と。そうしてバンドの根幹を表現した直後、わずか1分24秒、まさに歌うべきことだけ歌にした最終曲“Melody”において、《あなたが求める愛の歌を/僕なら歌える聴いてほしい》と宣誓するのである。書くべき曲のテーマを明確に自覚し、それが正しくバンドのストロングポイントとなり、ファンからも求められている。こういう状態のロックバンドは、強い。(長瀬昇)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年3月号より抜粋)
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