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ラブソングを歌い続ける。moon dropが掲げるその揺るがぬテーマは、今作にも全編にわたって貫かれている。恋が始まった瞬間の抑えきれないときめき。片想い中の焦燥感。恋が実ったあとのふたりで過ごす日々には悲喜こもごもの感情が滲んでいて、そうした甘いだけではない日々を経て終わってゆく恋も多い。そして、やがてまた新しい恋が始まる。これまでも彼らは、いくつものラブソングを通して、恋愛の巡り合いによって紡がれていく私たちの人生を克明に描き出してきたが、今作においてその筆致は今まで以上に鋭く冴え渡っている。四季が巡り、また次の新しい一年が始まっていくように、これからもずっとあなたと生きていきたい。そうした誠実な深い想いを託した《僕の季節はあなたです》(“僕の季節”)という渾身の一行に、特に強く心を動かされた。今作全体の、ライブバンドとしての熱き気概をまっすぐ込めながら、J-POPシーンのど真ん中で響くことを見据えたポップで鮮やかなサウンドデザインも素晴らしい。(松本侃士)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年4月号より抜粋)
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