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なんだか可愛らしくもあるタイトルやアートワークに、クラブやディスコで楽しむことを意味するリリースツアータイトル、先行配信された“Funky Night”で川谷絵音とちゃんMARIがみせる耳触りのいいツインボーカルや軽快なグルーヴで、「ああ、踊れる系の作品ね」なんて早合点してはいけない。過去作と比べてもトップクラスにグルーヴィだけれど、アップテンポで4つ打ちのベースがブリブリいうような明快な曲は多くない。聴き進めるにつれローファイヒップホップや高速ジャズファンク、エレクトロやプログレ要素まで顔を出すサウンドは実験的で構成もだいぶ歪。メロディ重視ではないアプローチや記号的で仮タイトルみたいな曲名、語感と語呂だけで勝負するリリックも目立つ。はっきり言って相当な怪作だ。これだけ変なことを詰め込んでおきながら、仮になんとなく流しておいたとしてもちゃんと心地よい音楽にまとめ、結局は「踊れるポップス」に着地させきるのは音楽シーン広しと言えどこの人たちくらいだろう。恐るべし。(風間大洋)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年7月号より抜粋)
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