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これまでリリースしてきた楽曲だけでもmuqueの生み出す音楽のバリエーションの豊かさは充分すぎるほど証明されてきたわけだが、このファーストアルバムを聴くと、それでもまだまだ知らないmuqueがたくさんいたんだな、と痛感する。どこか懐かしいテクノポップやドラムンベースから今まさにリバイバルしているUKガラージやマイアミベースまで、takachiの作るトラックはビートの博覧会状態。彼のセンスと反射神経の良さ、曲を変にこねくり回したりしないでワンアイデアで突っ走るような潔さがmuqueの音楽がカジュアルに広まった最大の要因だと思うのだが、そこに待ったをかけるのがAsakuraの歌だ。心の複雑な裏表を描き出すようなその声と歌詞が、今作をとてもエモーショナルなものにしている。リード曲“feelin'”を含め新曲はどれもぐっと内面性を強めていて、特にラストの“DAYS”はすごい。この曲の肉体的なロックサウンドは、これまでの曲とはまったく違うメカニズムで生まれている感じがする。(小川智宏)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年11月号より)
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