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ボカロカルチャーの波から泡のように生まれるアーティストはとめどなく、波を乗りこなすもの、陸地に降り立つもの、より深く潜るもの、羽根を広げ飛び立つものなど千差万別だ。アイドルを系譜に持つ石野理子(ex.赤い公園/Vo)、ボカロPの枠を超え目覚ましい活躍を見せるすりぃ(G)とツミキ(Dr)、「コーチェラ」の舞台にも立ったやまもとひかる(B)によるAoooは、個々の思惑で鳴らしたリアルな音の結晶が強固に結びついた異色のバンドだ。わずか1分強で一切の邪心を薙ぎ払いそのアイデンティティを叩きつける“FLASH FORWARD”で幕を開ける本作は、卓越したテクニックが織りなすソリッドなバンドサウンドを武器に、背景に薫る上述したカルチャーごと根こそぎ引きちぎって多様なジャンルのリスナーの耳元に新たな根を張る。全員が作曲を手掛ける中、Aooo名義で唯一クレジットされた“アパシー”は、4人が最短距離で手を繋ぎながらも最遠を穿つような覇気を感じさせる。渇きを無限に増幅させるこの感じ、たまらない。(橋本創)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年11月号より)
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