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そのメロディは歌謡曲やシティポップの薫りを内包して優しいあたたかみに溢れている。中低音を穿つその歌声は記名性高くたちまち脳裏に焼きつき、どこか置いてけぼりにしないでほしい、という焦燥感を掻き立てられる。2024年夏、“夏実”や“Bunny Girl”といった曲がSNSを中心にバイラルし、“Bunny Girl”のリリックビデオは現時点で2000万再生を超える。現在18歳。またしてもSNSネイティブ世代の新星登場、というわけだが、AKASAKIが他の追随を許さない勢いで成長しているのは、その眼差しが最新のポップシーンを見つめているのではなく、誰もが素通りしてしまうようなJ-POPの奥深くに根づいているドロッとした淀みの中を覗き込んでいるからではないだろうか。あの手この手で新たな音楽性を示すのではなく、出せば出すほどその魅力は色濃く滲んでいく。最新曲“ルーツ”もネオン輝く昭和歌謡の響きを携えながら、新鮮で軽やかな聴き心地をもって胸に届くのは、間違いなくそこに18歳のリアルが溶け込んでいるからだ。(橋本創)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年1月号より)
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