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メジャーデビュー5周年イヤーの幕開けは、彼の新境地とも言えるヘヴィでダークなダンスナンバー。SNSに依存する人々と、自身の境遇を重ね合わせた詞世界は、現実と非現実の境界線が曖昧な悪夢そのもののようであり、悪夢のような様々なリアルを映し出す。全体のテーマは昨年9月にリリースされた4thフルアルバム『Good Night Mare』との関連性を帯びながら、今作はワードもサウンドも「踊る」という概念が象徴的だ。歪んだギターリフや鋭さのあるベースラインなど、音そのものは陰鬱な印象を与えながらも刻むリズムはキャッチーで、生楽器と打ち込みが織りなす緊迫感のある音像では多彩な生活音がユーモラスに響き、言葉遊びと相まって受け手の解釈を刺激する。膨大な事象と感情を処理しきれずに鬱積した彼の脳内や世の中をそのまま投影したようだ。混沌としているのに心地よいという不気味ながらに痛快な中毒性は、心に鉛を抱えながらも生きる人間を内側から鼓舞する。(沖さやこ)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年7月号より)
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