走り出せ、電子の楽園へ

iLL『Deadly Lovely』
2009年07月29日発売
SINGLE
iLL Deadly Lovely
『R.O.C.K.』『Kiss』と続いたバンド・アレンジでのシングルに続いてiLLことナカコーが放つのは、実にスーパーカー以来となる砂原良徳プロデュースによってエレクトロニック・サイド・オブiLLを満開にしたような楽曲だった。のっけからイケイケのシンセベースとサンプリングビートが駆け出すこの曲は、幾度も繰り返される《春の予言さ/彼女の指》というフレーズと電子ノイズとともに、一点の濁りもない音のパラダイスへと僕らを導いていく。そして、これ以上削ぎ落としようのないシンプルなトラックと、極限まで情報量を圧縮した言葉で織り成されたこの曲に鮮烈な躍動感を与えているのは、ナカコーのメロディであり歌だ。カップリング収録の妖艶エレクトロ・ファンク“Afro Machine”や“Techno”“Boredom”のクールさとは異なる、透徹した音世界の向こうにやわらかな体温が宿る、独特の手触り。すでに『R.O.C.K.』の時点で「次のアルバムはできている」と語っていたナカコー。彼のエレクトロ・サイドとロック・サイドはアルバムではどんなレイヤーを構成するのか。目が離せない。(高橋智樹)
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