光る闇

エディターズ『イン・ディス・ライト・アンド・オン・ディス・イヴニング』
2009年11月04日発売
ALBUM
エディターズ イン・ディス・ライト・アンド・オン・ディス・イヴニング
2年ぶり新作となるこのアルバムが前作に続き本国UKでチャート1位を射止めたのも至極当然のことだ。というのは、シンセはじめエレクトロな要素を大量投入して格段に深度とスケール感を増したサウンドのせいでもなければ、そのハイブリッドな質感の中でもビビッドなライブ感を実現したプロデューサー=フラッドの功績でもない。この、UKロックの奥底に通奏低音として鳴り続けている背徳感と、死に物狂いで暗黒を通り抜けた者にしか描き得ない眩しい世界を、このビートとアンサンブルが、そしてトムの歌が、厳然と具現化してしまってるからだ。トム自身「今回のポイントはエレクトロなアルバムを作ることじゃなかった。今までにない音楽性を実現することだった」とコメントしている通り、彼ら4人が純粋にアーティストとしての野生の赴くままに、1mmでも高く飛翔できる音楽を模索した結果だろう。が、随所で朗々と鳴り渡るギターとシンセ・ストリングスの粛然としたヴァイブ、そして混沌の案内人のような妖気をまといつつあるトムの声は(手法こそ違うものの)ミューズの如くロックの枠を超えた閃光を放ちつつある。(高橋智樹)
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