ポエトリー・リーディング寸前までメロディの高揚を抑えたモノトーンの歌い回しとマシン・ビートっぽいハイブリッドな質感のアンサンブル。15年前のセカンドフライの後悔から9・11までが不穏にカットバックされる歌詞……1年2ヵ月ぶりとなるシングル曲“新世紀のラブソング”でアジカンが提示するのは、楽観主義だったり性善説だったりする能天気な「愛」や「正義」ではない。むしろ、どこまで行っても曖昧で正解のない「愛」と「正義」を、あくまでこの国の街に生きる一個人の立場から規定しようという、いたって静かな、それでいて死に物狂いのプロパガンダだ。《息を吸って 生命を食べて/排泄するだけの猿じゃないと言えるかい?》という、全人類を射程に収めたメッセージの後で、《ほら 君の涙/さようなら旧石器/恵みの雨だ/僕たちの新世紀》という珠玉のフレーズで聴く者すべてを「愛」と「正義」の追求という闘いへと解き放ってみせる……あまりにも壮絶な問題作にして傑作。ケータイ小説に充満する自作自演のラブに涙する時間はない。僕らは僕ら自身のラブを奪還する必要があるのだ。(高橋智樹)