いつか半透明になる日

アウル・シティー『オーシャン・アイズ』
2010年02月10日発売
ALBUM
アウル・シティー オーシャン・アイズ
頭であれこれ理屈をこねなくても、素敵な音楽というのは一瞬で心を奪ってくれるものなのだ。多くのファンと同様、シングル“ファイアーフライズ”にノックアウトされ、自分だけの宝物を見つけてしまったかのように有頂天になった私だが、このメジャー第一弾アルバム、なんだかもう笑いが止まらない。最初から最後まで飛ばしまくりだ。本当に才能があるな。浮遊感のあるメロディーを矛盾なく構築していくパワーもスゴイし、何といっても歌詞が震撼モノだ。最近ようやくe.e.カミングスの詩をペーパーバックで読んでいるのだが、ユーモラスでありながら宇宙と存在の真実を一筆でつかみ切っていく手腕、アメリカ詩人のタフな底力を感じます。日本にはこういう人、なかなか出てこないんだよなぁ……。

本人(アダム・ヤング)は引き篭もりだ対人恐怖症だと言われているが、確かに尋常でないナイーブさを音からは感じる。が、表現は決して思春期的なものではなく、不思議と成熟しているのだ。進化のプロセスにある人類の姿を見せられた気分。シンセ・ポップ以外にアコースティック・アレンジの曲もあって、どの曲も最高に素敵です。(小田島久恵)
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