アーティスト

    ロックンロールも成長する

    ブラックマーケット『セイント・ヴィンセント・デコール』
    2010年02月10日発売
    ALBUM
    ブラックマーケット セイント・ヴィンセント・デコール
    一昨年デビューし、フジ・ロック08を沸かせた新人のなかでも鮮烈なインパクトを残したブラックマーケット。新人離れしたミュージシャンシップに、とにかく曲が書けてエネルギッシュで、同時期にデビューしたバンドたちから群を抜いていた彼らだが、このたび届いた新作は、もっと世界観が開けた1枚だ。

    これまで、とかく「エモ」というタームが付きまといがちだった彼らだったが、そんなところに押し込めないでくれ、とでも言いそうな、ラフ&ロウさにしびれる仕上がりになっているのだ。冒頭の“タング・トゥイスター・タイポ”は、一瞬人を喰ったような痛烈なオープニングに聴こえる。が、そのささくれ立ったガレージ的アプローチは、より安定したリズム隊によって、刹那なものではなく大きなステージで勝負できそうなスケールに広がっているのだ。やっぱり、いい意味で若手らしくない。加えて、“ドット・トゥ・ドット”のように、ざらついたボーカルが色気たっぷりなメロウなナンバーもあるし、全体に楽曲のクオリティが何層も突き抜けている。だから、じとっとなりがちなロックンロールを、カラリと潔く響かせている。(羽鳥麻美)
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