月明かりのような希望を求めて

the crickets『Fortune O'clock High』
the crickets Fortune O'clock High
「RO69JACK2009」で投票3位を獲得した5人組バンドthe cricketsが、ミニアルバム『Fortune O'clock High』をリリースする。ツインギターを擁する正統派ギターロック、といってしまえば早いが、彼らのサウンドは尖った金属質なものではなく、焦燥感の奥から心をジワッとさせる独特の熱っぽさがある。たとえばリズム。バウンドするドラムとうねるベースが生み出す、時にファンキーなまでに粘っこいグルーヴが楽曲にもたらす熱量は大きい。そして、作品の根底に流れるロマンティシズムがこのバンドの魅力だ。《雨上りの朝に/また空を見たいよ/そう君と/シャララ…》(“泣き空”)という甘く切なる願いが、一度聴いたら忘れない必殺フレーズに乗り、《透明な羽衣で/君の待つ場所へ》《今は目の前に広がる靄が少し晴れて/I see the light》(“loss”)と目の前に現れた光を歌う。そう、the cricketsがこの1枚のミニアルバムを通して描くもの、それは希望だ。《今とても嬉しいのは/あの頃悲しかったから》(“Speak to the world”)と、月明かりに手を伸ばすように光を手繰り寄せるその歌に、胸が熱くなる。(福島夏子)  
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