くるりの帰る場所

くるり『僕の住んでいた街』
2010年05月26日発売
ALBUM
くるり 僕の住んでいた街
くるりというバンドはどこへ向かうのか。アルバムごとに異なるインスピレーションを見つけては、気の向くままに自分たちのロックを冒険させてきた彼らに、明確な目的地はない。ただ、12年間歩んできたその道をずっと遡れば、帰る場所はひとつ。彼らは全シングルのカップリング曲を余さず集めたこの特別なアルバムに、その場所、京都を意味する名前をつけた。なぜか。結果やクオリティを求めて常にシビアに音楽と向き合う日々の中で、もっとも無邪気にそれと戯れる自分たちを、この34曲に見たからである。しかし『東京』の“尼崎の魚”から『愉快なピーナッツ』の“かもめはかもめ”まで、時系列順に並んだ曲をひとつずつ聴くと、耳に残るのはそういうヤンチャさだけではない。むしろどんな曲でも一貫してポップでオリジナルな、彼らのソングライティングの凄みである。それでいて、あくまでも肩の力はさらっと抜いてみせる。今回約1年ぶりの新曲“東京レレレのレ”も、ブルージーなギターに祭り囃子と民謡調メロディを融合させたまさにハイレベルな妙技だ。改めて、彼らの凄さを思い知る一枚。(松村耕太朗)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする