可愛いものにも棘がある

イノセンス・ミッション『マイ・ルーム・イン・ザ・トゥリーズ』
イノセンス・ミッション マイ・ルーム・イン・ザ・トゥリーズ
キユーピーのCMに楽曲が起用され、ここ日本でもいきなり知名度が上がったイノセンス・ミッション(その“オール・ザ・ウェザー”は本作に収録)だが、結成から数えると20年以上。いわゆるカレッジ・ロック・バンド・ブームのなかで出てきた彼らは、以来本国アメリカでは名実ともに高い評価を獲得してきた。マイ・モーニング・ジャケットやマーク・コズレクを輩出してきたバッドマンから07年の前作をリリース後、若手からのリスペクト&再評価も著しい。そのことにも表われているが、このスウィート&スムースなサウンド・テクスチャー(と、カレンの声)は、「キャリアを重ねるごとにイノセンスが増して」とかいうレベルのものではない。現代の「オルタナティヴ・フォーク」勢とも共振する濃密なリファレンスをそのサウンドに落とし込みながら、喜びも悲しみも同じように鳴らしてしまう、しかしどこまでも抑制の効いた、ミニマルなポップ・ミュージック。オリジナル・メンバーのスティーヴ・ブラウンがドラマーとして復活しているが、そのことも影響しているだろう。セイント・エティエンヌやパステルズなどと並んで、若いリスナーにこそ聴いてほしいバンドである。(羽鳥麻美)
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