「散開」を発表したビークルによる、DVDシングル。シングルとは言え、本編に加え、オーディオコメンタリー機能を使った全員と5人それぞれをフィーチャーしたものと、カラオケ用のテロップ入りという、総じて8バージョンが収録されている。もちろん、楽曲そのものも素晴らしい。琴線をくすぐるようなメロディと、もどかしい恋愛を描いた歌詞からは、今までのビークルの楽曲にないような切なさを与えられてしまう。さらに、楽曲がのったミュージックビデオも、メンバーが手を振る場面が印象的で、まさに彼らのシチュエイションを重ね合わせたのかと思えるほどだ。彼らは、練られたキラーチューンをよきタイミングで放ったり、そこらの役者も顔負けなエンターテイナーぶりを発揮して、大人の舌をも巻いてきたけれど、お面の下の素顔は、何よりも音楽を聴くことや鳴らすことを愛する、純然たるロックバンドなのである。ロックバンドが止まる理由は、大人が想像できるような、理論的なものだけでは決してないはず。そんなビークルの、ロックバンドらしい裏表のなさが、今作からは見えるようだ。(高橋美穂)