傑作じゃねえか!

BIGMAMA『Roclassick』
2010年10月06日発売
ALBUM
BIGMAMA Roclassick
1曲目“走れエロス”は、ヴィヴァルディの“春”をモチーフにしているだけでなく、歌詞は『走れメロス』の物語のパロディ。内容は、彼女の家に泊まるチャンスなのにコンドームが無くて《“必ず戻ってくるからね”》と自販機に走る男の歌。春って、そっちの春!? ベートーヴェンの“エリーゼのために”をモチーフにした“テレーゼのため息”は、元々ベートーヴェンがこの曲を書いた相手であるテレーゼという女性からのベートーヴェンへの愚痴である。ハチャトゥリアン“剣の舞”をモチーフにしたスカパンク風のインスト曲のタイトルは“ツルギが無い”……「何やってんだ、金井!」というツッコミが最初から最後まで止まらないが、このアルバムは最高である。

誰よりもクソ真面目に正面から斜めから裏側からあらゆる角度から「人間」や「神」や「世界」のことを考え尽くしてきたからこそ金井政人のロックへのスタンスは乱暴で自由で戦略的なものになってきた。クラシック×ロックの融合というコンセプトを自ら蹴散らすぐらいメロディもサウンドもグルーヴも歌詞も強力な追い風で膨らみまくっている。(古河晋)
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