三日会わざれば刮目して見るべし

クリニック『バブルガム』
クリニック バブルガム
2年ぶりの6作目だが、これまでとはかなり趣の異なる作品に仕上がっている。良くも悪くも、自分たちの世界を頑なに守り続けてきた彼らは、本作で初めて大きな方向転換を成し遂げている。これまでの60年代サイケデリアの黄金律をトレースしながらも、なお暴力的にパワーアップしていくような危険さは一気に後退し、リラックスしたメロディアスな歌もの中心の音楽性にシフトしている。生ギターを大幅にフィーチャーし、ナチュラル・トーンのアコースティック・サウンドがふんわりと包み込むような作りで、刺激性や暴力性、強迫性は回避され、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドで言うとサード・アルバムに近い繊細な叙情性が打ち出された作品となっている。たぶんこの方向性には賛否両論あるだろうが、ヴェルヴェッツのサードが後年になって高く再評価されたのと同様のベクトルが本作にも働く可能性はあると思う。これが単なる気分転換なのかバンドの根本的な変化の予兆なのかはわからないが、個人的には、やや定型化されていたきらいのあるクリニック・サウンドに、新しい可能性を切り拓いたものとして評価したい。(小野島大)
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