3部作として予定されている「One」シリーズの2作目で、今回はドイツのクラブに観客を集め、歓声や合唱、手拍子や、その場で起こるノイズを録音、エディットを施し、ダンス・トラックとして完成させたもの。そこにはパーティーやクラブが過度に商業化されている現状への抗議の意志があるようだが、クラブの現場でのある種の肉体的躍動や濃密な一体感をもう一度捉え直すことでしか解決しないということなのだろう。
だがそうしたコンセプトに深入りするより、この刺激的なビート・メイクに身を委ねてしまうのが正解だ。ダンス・ビートを封印し、内省的なリスニング・トラックを展開した前作はちょっと考えすぎな感があったけど、今作での、あらゆる音素材を自在に加工し、ハウス/ミニマル/トライバルを軽やかに往還するキレキレの躍動的グルーヴと、変態サンプリング・ノイズの相乗攻撃は、あまりに強烈すぎる。(小野島大)