音楽的にはメタル寄りのメタル・コアで、ハードコア的な突進力とメタル的な様式美がうまくバランスしているあたりが個性で、パンクとメタルの境目が最初から存在しない世代らしい音と言える。デス声でのスクリームと、クリーン・ボイスによるメロディアスな歌、重厚かつ切れ味のいいリフと、叙情性あふれるアルペジオという相反する要素を、巧みにというよりは、若さの勢いで往還しながら、実にドラマティックに仕上げていく手腕は、なかなかのもの。ポスト・ロック的な要素もうかがえ、展開に凝りすぎて落ち着きのない印象もあるが、そのあたりは若さの持つエネルギーの証でもあるだろう。そして徹底的に「ぼくときみ」の世界、一対一のコミュニケーションにこだわる歌詞(英語)も面白い。
録音が少しキレイすぎるのがやや物足りないが、総じて新人のデビュー作の水準ははるかに超えている。(小野島大)