今、私達が聴くべき私達のためのポップ・ソング

ブラック・キッズ『『Partie Traumatic』(輸入盤)』
2008年07月15日発売
ブラック・キッズ 『Partie Traumatic』(輸入盤) - Rartie TraumaticRartie Traumatic
ブラック・キッズのデビューEP“I’m Not Gonna Teach Your Boyfriend How To Dance With You”を初めて聴いた時は、「まぐれだろう」と思った。「出来すぎだ」とも思った。だってほら、本人達のスキルを超え、人智の及ばぬ場所で結実したデビュー・シングルって時々存在するじゃないですか。特に80年代〜90年代のギタポ系新人に多かったパターンじゃないですか。一瞬の煌き。むしろ一瞬だからこそのフラジャイルな煌き。この曲もそういうもんだと思っていた。しかし彼らの才能はまぐれではなかったし、想像を遥かに越えて出来すぎたものだったと認めざるを得ない。2008年6月現在、今年最高と断言できるデビュー・アルバムの到着である。

ローリング・ストーン、BBC、NME、ピッチフォーク等、世界の主要インディ・メディアの賞賛を一身に浴びる新星、ブラック・キッズ。彼らのサウンドは一言で言えばNW風ギター・ポップであり、キュアーにアーケイド・ファイア、プリファブ・スプラウトにブロウ・モンキーズにマイブラと連想ゲームは幾重にも果てしなく広がっていく。しかし大切なことはただひとつ、このアンチ・ヒーローの手によるバロック・ポップには、「世界対自分」の構図に疎外と混乱を抱えた少年達の必然としてのバロック(歪)が宿っているということ。フロリダ州ジャクソンビルなんていうインディ死滅地帯で一体彼らはどんな青春を送り、この表現に辿り着いたのか。今、最もそのインサイド・ストーリーを探りたい新星でもある。必聴。(粉川しの)
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