実は骨太で不敵なロック

うすしお『塩をかける、少々。』
2010年12月08日発売
MINI ALBUM
昨年末の「RO69JACK 09/10」で優勝を果たした4人組ニューカマー、うすしお。ちょっと気弱そうなバンド名にナメてかかると、そのピュアで骨太な日本語ロックの熱量に驚く。彼らの初音源となるこの6曲入りミニアルバムには、ふたつのものが詰まっている。それは60~70年代のロックに捧げられた彼らの深い愛情と、それを「今」に鳴らすべきロックへとしなやかに変換する彼らの才能である。でも彼らは《楽しいことがしたいぜ!!》とか《ロックンロールは決して止まらないのさ!》とか、今さら特別なことは何も言ってないし、サウンドにわかりやすいギミックがあるわけでもない。なのにどの曲も胸にグッと迫ってくるのは、きっと彼らに、ロックンロールの歴史の中で何百回も起きてきた奇跡を、絶対に自分たちも起こせるはずだというむやみな手応えがあるからだ。その自信は4人のどことなく不遜で独特なグルーヴに直結していて、ボーカル・こっけの太くて伸びる声も気持ちよくて、もっともっと他の曲も聴いてみたいと素直に思わせられる。ぜひ、王道を担うようなバンドに成長してほしい。(松村耕太朗)