うすしお@下北沢251

うすしお@下北沢251
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うすしお@下北沢251
うすしお@下北沢251
うすしお@下北沢251 - pics by 生天目 結pics by 生天目 結
昨日12月8日に、当サイト「RO69」が運営するレーベル<JACKMAN RECORDS>からミニアルバム『塩をかける、少々。』をリリースしたうすしお。本日はそのレコ発イベント『うすしおのレコ発パーティ!』である。彼らを改めて紹介すると、こちらも当サイト「RO69」が実施しているアマチュア・アーティスト・コンテスト、昨年の「RO69JACK 09/10」においてユーザー投票1位を獲得し、見事『COUNTDOWN JAPAN 09/10』に出演を果たした現役大学4年生の4ピースバンドである。(昨年のCDJ出演時は大学3年生)本日のイベントには、うすしおの他に、・・(ニコテン)、はいからさん、ザ・ラジオカセッツ、Stripped Soulの4組が出演。オーディエンスの入りも上々で、ほぼ満員状態の下北沢251である。

転換中にかかっていたビートルズの“ノー・リプライ”がフェード・アウトすると、YMOの“君に、胸キュン。”をSEにうすしおの4人がステージに登場する。やや緊張した面持ちの4人だったが、それを振り払うかのように鳴り響いたのは、今夜の決意表明とも言えそうな“とりあえずロックンロールを”だ。マッシュルームカットに黒ぶちメガネ、と書くと草食系メガネ・ロッカーにも思われそうなこっけ(Vo/G)だが、そのルックスからは想像できないほどに皺枯れたソウルフルなボーカルが届けられる。あらかじめロックンロールを歌うことが約束されているような、そんな声だ。

うすしおは、今日の今日まで、何十万回と鳴らされてきたロックンロールを時代と逆走するように、あくまでスタンダードに鳴らすバンドだ。《どこまでも行けるぜ!!/どこまでも行こうぜ!!》(タイムマシン)とか《ロックンロールを歌わせてくれないか!/君のために!》(ロックンロール)とか特別なことは言っていないし、現在のトレンドを捉えたり、ギミックのある音というわけでもない。演奏技術は時に頼りなく聴こえることもある。しかし、その普遍性も頼りなさも、うすしおが演るとすべてが今鳴らされるべきロックンロールとして鳴っている。それが単なるリバイバルにならないのは、彼らが今の情景を、今の物語を屈折させずに描いているからだ。等身大の物語を吐き出す装置としてのロックンロールが意識的にではなく、本能的に(あるいは天然的に)宿っているバンド、それがうすしおなのだと思う。ロックンロールがこうした今の今まで生まれ変わり続けてきたのは、こういうバンドが時代時代で歌い続けてきたからなのだろう。

ビートルズの“デイ・トリッパー”のイントロからせいご(G)のテクニカルな速弾きと鋭いコード・ストロークへと移っていき、そこにこみ(B)とあきら(Dr)のリズム隊がのって突き抜けるような疾走間に満ちた“タイムマシン”、こっけが崇拝する奥田民生からの影響が伺えるような“夜はこれから”と、自分たちの信じてきたロックンロールの歴史をこれでもかと見せつけていく4人。そして、ハード・エッジな“まだまだ”を披露した後でこっけはこう言った。「今しかない。今しかない“今”を録音したからビートルズはかっこいいんです。先のことなんてわからないけれど、今この瞬間を楽しめばいいんです!」そしてプレイされたのは、そんな「今」が書かれていない“ニュースペーパー”である。その中でこっけは、昨日のことしか書かれていない新聞を嘆き、明日の新聞なら君と一緒に読みたいと叫ぶ。音はオールド・ライクな過去を鳴らしながら、未来について歌うのである。

そして、男子、女子、フロアの右、左、後と仕切ってシンガロングを煽った本編ラストの“もっともっともっと”で本編は終了。すると、彼らの去ったステージに先ほどよりもいっそう大きな《もっともっともっともっと!!》のシンガロングが届けられた。これは今夜のハイライトだろう。きっと本人たちも嬉しかったはずだ。アンコールは“無重力”、“ロックンロール”の2曲。最後は4人揃ってステージに横並びし、一礼してライブは幕となった。

年内のうすしおは、多数のライブイベントへ参加し、12月31日にはここ下北沢251にて行われるライブイベント『2010 251 ALL STARS SPECIAL』に出演することも決定している。まだまだ彼らはスタートラインに立ったばかりだ。今後の活躍をゆっくり見守りたいと思う。(古川純基)

<セットリスト>
1.とりあえずロックンロールを
2.タイムマシン
3.夜はこれから
4.ようこそ
5.まだまだ
6.ニュースペーパー
7.世界がかわる夜なのさ
8.もっともっともっと

アンコール
9.無重力
10.ロックンロール
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