最高のパンク・ロックだ。かつてパンク・ロックを日本の音楽のど真ん中へと牽引した1人である難波章浩はなぜ、10年間にわたってパンクを封印してきたのか。なぜ今再び自らを解き放つに至ったのか。そして、彼は「今」という時代にいかにして向き合うのかーーという己にまつわる問いに対し、《オレは地獄のどん底にいた／誰もオレが感じてることをわかってくれなかった》（“MY WAY”訳詞）とか《僕が経験した成功と失敗を／知っているかい？／ものごとが来るのを待ってちゃいけない》（“ONE STEP INTO FREEDOM”訳詞）とかいった胸を抉るリリックで100％回答して「？」を「！」に変えながら、それらすべてを《Punk rock through the night（一晩中パンク・ロック）》というメッセージの爆発力でもって明日へ向かって撃ち放ってみせた、あまりに壮絶で爽快な7曲入りミニアルバム。何より、ここでの彼の歌が、徒手空拳で世界に立ち向かおうとする孤高の闘士のダンディズムに満ちているのが嬉しい。灰色の日常を塗り替えることのできるパンク・ソングとは、きっとこういうものなのだろう。（高橋智樹）