血塗れで挑む、世界との最終決戦
SUM41『スクリーミング・ブラッディ・マーダー〈デラックス・エディション〉』
2011年04月06日発売
ALBUM
むせ返るほどに熱く、前へ先へとほとばしる衝動と闘争心! 反骨と抵抗のパンク・バンドとしてのアイデンティティを図太いソングライティングに結晶させた前作『アンダークラス・ヒーロー』とは明らかに音の手触りが違う。“ロンドン・コーリング”をヘヴィ・サウンドで再構築したようなM1“リーズン・トゥ・ビリーヴ”といい、M4“タイム・フォー・ユー・トゥ・ゴー”の8ビート・ロックンロールの質感といい、パンキッシュというよりはメタリックな硬質感を持ったM5“ジェシカ・キルズ”のカッティングといい……つまり、2nd『ダズ・ディス~』から3rd『チャック』に至る時期の、この世界の混沌すべてを敵に回して神と運命に最終決戦を挑むような、悲愴なまでの覚悟と破れかぶれのエネルギーが今作には吹き荒れている。《俺を切り裂けばいいさ、神は人を陥れ、血を流させるらしい》とぶち上げるタイトル曲などはまさにその象徴だ。ベスト盤で自らの歴史を一旦総括し、バンドとしての成熟の季節を迎えたはずの彼らは、再びハード・エッジな音の武器を手に壮絶な闘いの業火の中へと身を投じようとしている。戦慄。(高橋智樹)
2011.04.06 22:00