端的に言うならば、「お洒落」ではなく「格好良い」ザ・キルズがカムバックを果たした快作である。アリソンのデッド・ウェザーでの活動が彼らに原点回帰にも似た自浄作用をもたらしたんじゃないかとも想像できるが、いずれにしても彼らのデビュー・アルバム以降の作品中で個人的には最も好きなアルバムだ。2000年代初頭のロックンロール・リバイバルを牽引したキルズ自身の中で再びロックンロールがセルフ・リバイバルしている。彼らが最も得意なガレージ・ロックが、言い訳無しで炸裂している。初期衝動であるガレージ・ロックのリバイバルの限界を頭のいいこのデュオは誰より早く察知していたし、だからこそ前作『ミッドナイト・ブーム』までの彼らはガレージを記号化し、ファッションへとスライドさせて自身の音楽進化とは分けて捉えるようにしていた。しかし、本作の彼らは再び真正面からガチンコで自分達の音楽にガレージの火を灯し、その耐久性を証明しようとしている。ロンドンのホワイト・ストライプスとも称された彼らの覚醒と本家の解散がほぼ同時に起こったことには運命じみたものも感じてしまうが。(粉川しの)