衝撃の感性の持ち主登場の思い出

アリシア・キーズ『ソングス・イン・A・マイナー:エターナル・エディション~バース・オブ・アリシア・キーズ/アリシア・キーズ』
2011年07月13日発売
ALBUM
アリシア・キーズ ソングス・イン・A・マイナー:エターナル・エディション~バース・オブ・アリシア・キーズ/アリシア・キーズ
このアリシア・キーズのファーストが出た時になにが衝撃的だったのかといえば、アリシアのボーカル・パフォーマンス、ピアノ・パフォーマンスとすべてが完璧で、素養もクラシックを幼少からみっちりやっていると申し分のない育ちのよさを誇っているのに、その感性に関しては、どこまでもストリートに近いヒップホップ性まで持ち合わせていたところだ。その最たるものが冒頭の小品で“ピアノとわたし”というほとんどお嬢様芸の極みのようなタイトルながら、クラシック・ピアノとアリア歌唱が流れ、そこに太いビートとMCがあまりに自然に加わっていくところがまったく新しい感性の登場を予告するものだった。アルバムは曲、演奏ともに完璧だが、なによりもアリシアの感性の新しさが冴えわたる作品。その後、スウィズビーツを旦那にするだけの器量はこの頃から窺われたということか。今回の再発にはNASのMCをフィーチャーした“ア・ウーマンズ・ワース”のリミックスのほか、ド渋の展開の“ジューシエスト”や“ガールフレンド”のミックス違いなども収録されていて、デビュー時の衝撃の思い出も倍増されていく。(高見展)
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