俳優・竹中直人の必殺芸に「笑いながら怒る人」というのがあって、昔死ぬほど笑わされた記憶があるのだが、初めてアルカラを聴いたときに頭をよぎったのが、まさにこれだった。アルカラは常に怒っている。それは、このニューアルバムでもダダ漏れである。ただその「怒り方」が、とてもとてもヘンなのである。普通ロックで怒りを表現する際、最もわかりやすい形でそれが表出するのは歌詞である。ただ彼らの場合、怒りの全てがビートに宿っているのだ。しかもそのビートが、これまたヘン。ビートそのものはパワフルなのだが、変拍子の応酬によって、とにかく脳が錯乱させられる。でも不思議と気持ちが良い。特に最高なのが2曲目の“癇癪玉のお宮ちゃん”。人間は怒りが沸点に達すると、自然と体が動き出し、ついには踊ってしまうというこの歌、画を想像すると笑えてくる。《かんしゃくダンス》というネーミングも素晴らしい。アルカラの音楽は、安易に、そしてストレートに怒りを表現できてしまう今のロックに対する、秀逸な批評であり、警鐘だと思う。まだまだ突き抜ける、このバンドは。(徳山弘基)