新しいモードへ
plenty『あいという』
2011年12月07日発売
2011年12月07日発売
SINGLE(CD+DVD)
《君なら何という》と江沼が問うのは、生きる人間すべての命題であり、誰も確かな答えに辿り着けないであろう「愛」。“あいという”の冒頭、夜明け前の静寂に似た音響のなかで彼の声がいつになく不安げなのが、愛が何かを探して虚空に手を伸ばして彷徨っているようで、儚い。そして2曲目の“スローモーションピクチャー”では、愛に対してのひとつの解釈を与える。前作e.p.から半年あまり。その間にDrの吉岡紘希が脱退。それでも歩みを止めなかったplentyはこのシングルで表現をさらに深く、開放させた。ストリングスと打ち込みの導入、さらに今作はサウンドフィルムトラックという形式で楽曲ありきのショートフィルムが収められ、発信の手段として新たな試みがなされている。とはいえその楽曲の本質は、e.p.のたびに他者を求めて繋がりたいと歌ってきたこれまでのその先の、さらに他者と距離を縮めたところへ、そしてもっと深いところへと到達している。その音には、これまでの楽曲とは比にならない圧倒的な普遍性が宿っていて、やさしく穏やかで、強い。早くもplentyはまた新たなステージに立つ。(中村萌)