豊かな表現力の塊
SHAKALABBITS『「Walk Over the Rainbow」』
2008年09月24日発売
Walk Over the Rainbow結成10周年を迎える彼らが1年10ヶ月ぶりに届けてくれたニュー・シングル。これだけキャリアがあるのにも拘わらず、彼らの音楽性をきちんと知っている人がそれほど多くない気がするのが、実はずっと歯がゆかった。シャカラビというと日本語パンク・ブームの頃に登場し、ボーカリストが女性。しかも、とっても華やかな存在感を持っているので、“ポップでキュートなパンク・バンド”というイメージを抱いている人がどうしても多いようなのだが、そんな考えに縛られていると本当に勿体ない。上記の要素も持っているのは確かだが、それに加えて、USオルタナティヴ・ロックへの敬愛を窺わせる重厚なアンサンブル、濃密なグルーヴも持っている人達なのだ。それは本作を聴けば分かることだろう。“Walk Over the Rainbow”で発揮されているカラッと乾いた開放感、“Circadian Bird”で聴くことの出来る「虎視眈々→爆発」へと至る過程で艶かしくウネるグルーヴ。こんな豊かなエネルギーは、一朝一夕に掴めるものではない。聴き始めた最初の数秒で、心を揺さぶられずには済まない楽曲揃いの1枚だ。(田中大)
2008.09.22 04:00