吉井和哉自身もこのライヴDVD中のMCで語っていた通り、昨年のツアーの大総括と言える『Flowers & Powerlight Tour 2011~born-again~』ファイナルにして年末恒例の武道館ライヴでもあるこのアクトは、最新ミニアルバム『After The Apples』の6曲を要所要所に配しつつ、ダチョウ倶楽部とのコラボ曲“マサユメ”完全再現(!)を除けばシングル・ナンバーは2曲のみ、あとはアルバム曲やカップリングで構成された「裏・吉井和哉」的選曲によるものだった。が、それによって吉井和哉の生々しい「今」が――たとえば己の血に潜むブルースをハイブリッドなビート感越しに対象化した“母いすゞ”の圧倒的な妖気が、たとえば研ぎ澄まされたサウンドで国境も重力圏も飛び越えようとするような“バスツアー”の輝度が、その映像からもリアルに浮かび上がってくるし、“LOVE & PEACE”“FLOWER”に吉井が込めたポジティヴィティがさらなる大輪の花を咲かせつつあることがわかる。「吉井が己を全開放すること」と「聴き手の生命力を全力で鼓舞すること」がイコールで結ばれた、貴重な瞬間の記録。(高橋智樹)