ジ・エンド・オブ・アン・エラー前作『ア・コレクション・オブ・ショート・ストーリーズ』から3年の間に8つのUSツアーをハローグッバイやMXPXなどの精鋭とともに回り、2度の来日を果たし、格段にタフになったヒューストン・コールズ。姉妹レーベル=Rushmoreの再合併によって、本家Drive-thruからのリリースとなった2ndアルバムが今作。たとえばM1“モデスト・マニフェスト”の、ギターもキーボードも含めて5人がひとつの流線型を描いてかっ飛んで行くようなハイパーなアンサンブル。たとえばM3“ア・ショット・イン・ザ・ダーク”に満ちあふれる、スウィートなコーラスとメロディの嵐。たとえばピアノ・バラード=M5“ステイ・ウィズ・ミー・トゥナイト”の静謐にして豊潤な響き……ネガティブの欠片も残さないほど濾過された、ポップで清冽な音像。シーンとしてのエモがすっかり雲散霧消した今、高らかにこのエモ・サウンドが鳴り響くことができるのは、他ならぬ己のエモーションを地の果てまで信じているからこそだろう。ジミー・イート・ワールド直系のぶっとい音を聴かせるM7のタイトルが“ナゴヤ”だったりするあたりも気になる。(高橋智樹)