一聴して、鳴っている音と声の距離感や、ちょっとサイケデリックな浮遊感を持つコード感などが、絶妙なバランスだと思った“傾いた空”。人と人との関わりや、自分自身の中にある、小さな違和感を、ひとつひとつ確認するような歌なのだが、《そこにどんな答えがあっても/まだまだ終わりはないだろう》と高らかに歌い上げてみせる江沼のヴォーカルに今の彼らの、アルバム『plenty』以降の進化が聴こえてくる。
例えば、あなたが欠陥住宅の疑いがある傾いた家に住んでいたとしたら。そのことで不安になったり誰かや自分を責めたくなったりモヤモヤしたりするはずだ。だけど、床にビー玉を転がしてみて部屋の端から端までコロコロと移動するのを見れば「あ、傾いてるんだ!」とわかってスッキリするように(!?)。今のplentyの楽曲は、心の中にある歪みや欠落が鮮やかなほどよくわかる。それが何だか面白いし、多くの人が気持ち良く共感できるだろうし、それを伝えられる頼もしい存在になったなと思った、新たなる3曲。曲調は違えど、ビー玉が転がってくような感覚は共通している。(上野三樹)
「あ、傾いてるんだ!」
plenty『傾いた空 / 能天気日和 / ひとつ、さよなら』
2012年08月01日発売
2012年08月01日発売
SINGLE