やっと、ようやくのアルバム完成!と言っていいだろう。なにしろこのエジプシャン・ヒップ・ホップが最初にUKの新人レーダーに引っ掛かってきたのは今から3年も前の話なのだ。マンチェスター出身の新鋭ということで、当時はデルフィックやエヴリシング・エヴリシングといった同郷の新人達と併せて注目、プッシュされていたと記憶している。2010年にリリースした数枚のシングルも高い評価を得た。あれから2年、デビュー・アルバムの完成になぜこれほどの時間がかかったのか――本作を聴けばすぐに理解できるはずだ。所謂ニューウェイヴ風の軽妙なダンス・ロックを鳴らしていた彼らが、本作では全く別物の深度と知性を手に入れている。一気に拡大開花したポリフォニックなビートのヴァラエティといい、緻密に織り込まれたサイケデリックといい、ガチャガチャとコケティッシュだった以前のサウンドが嘘のように研ぎ澄まされている。かのジェイムス・ブレイクを輩出したR&Sからのリリースというのも納得、2年のインターバルはEHHにダンス・ロック・ブームの狂騒から距離を置く知恵とオリジナリティを与えたようだ。(粉川しの)